1994年1月17日「ふたりのビッグショー」で。
「愛人」「大阪しぐれ」
「大阪しぐれ」
これはテレサとともに仕事をはじめてすぐに気づいたことなのだが、テレサが歌を歌うのは、誰のためでもなく自分のためだった。自分が楽しいから歌っているにすぎなかった。だから仕事を離れてカラオケなどに行ったときにも、テレサは惜し気もなく歌を披露した。
たとえばそこへ一緒に行った仲間でなく、隣のテーブルの客に「歌ってほしい」といわれると、テレサは何のためらいもなく、それはまるでOLが上司にはやし立てられて歌うのと同じように、マイクを握って歌いだす。
それはその人たちのためとか、サービス精神というものではなく、そうすることが自分で楽しいからやっているというふうだった。
そんなとき、テレサが必ず最後に歌うのが都はるみさんの 『大阪しぐれ』だった。
テレサが歌う『大阪しぐれ』 は絶品で、実はテレサはあの曲がいちばんうまく歌えたんじゃないか、などと僕はいまでも思っている。テレサのクリスタルボイスはあの曲にとてもよく似合った。
『追憶のテレサ・テン』(西田祐司・著)
「何日君再来」
「ふたりのビッグショー」全編
0コメント